夏の到来とともに、和食の世界では「鱧(はも)」の季節がやってきます。関西地方では古くから夏の味覚として親しまれてきた鱧は、その上品で淡白な味わい、そして美しい白身が特徴の高級魚です。生地温泉たなかやでは、この夏限定で「鱧しゃぶ会席プラン」をご用意いたしました。
この記事では、鱧という魚の魅力や、料理人の技が光る「骨切り」について深くご紹介しつつ、当館のプランをご案内いたします。
鱧とはどんな魚?

鱧はウナギ目ハモ科に属する海水魚で、細長い体と鋭い歯を持ち、見た目はやや厳つい印象を与えます。しかしその見た目とは裏腹に、鱧の身はとても繊細で淡白、かつ上品な旨味を持っています。脂ののりすぎないすっきりとした味わいは、夏の暑さに疲れた体にも優しく、食欲をそそります。
鱧が夏の味覚として親しまれるようになった背景には、その生命力の強さがあります。かつて輸送手段が発達していなかった時代、遠方から都市部へ生きたまま運べる魚は限られていました。そんな中でも、鱧は桶に入れて運んでも生きていることが多く、「生きのいい魚」として珍重されたのです。特に京都では、祇園祭の頃に鱧を食す文化が今も色濃く残っています。
鱧料理の要「骨切り」技術
鱧を扱う上で欠かせないのが「骨切り」です。鱧は小骨が非常に多く、骨ごと食べるためには、1センチの間に20~25回もの包丁を入れる繊細な処理が求められます。この技術を施すことで、鱧は口の中でふわっとほぐれる食感に仕上がり、小骨の存在を感じさせずに味わうことができます。

骨切りは、ただ包丁を細かく入れれば良いというものではありません。包丁の角度、力の加減、鱧の身の厚みや質に応じて微妙に調整する必要があり、熟練の料理人でなければできない高度な技術です。切りすぎると身が崩れ、足りなければ骨が口に残る——その絶妙なバランスが、料理の完成度を大きく左右します。
当館では、長年の経験を持つ料理人が、一尾ずつ丁寧に骨切りを行っております。お客様には、ふんわりとやわらかな食感とともに、料理人の技を味わっていただけます。
鱧しゃぶ——さっぱりとした涼味を楽しむ
数ある鱧料理の中でも、「鱧しゃぶ」はその繊細な味を最も引き立てる食べ方の一つです。沸騰直前のだしに鱧の切り身をさっとくぐらせると、身が花のようにふんわりと開き、見た目にも涼やかな一品となります。
当館の鱧しゃぶは、鰹や昆布の旨味を利かせた特製のだしを使用しており、鱧の上品な味わいをより一層引き立てます。湯にくぐらせた後は、ポン酢や梅だれなどお好みのたれで、さっぱりとお召し上がりいただけます。脂の少ない鱧は非常に消化も良く、夏のごちそうとしても最適です。
また、しゃぶしゃぶだけでなく、鱧の落としや天ぷら、鱧の湯引きなど、様々な調理法でご提供することも可能です。料理を通して鱧の多彩な魅力を感じていただけるよう、献立には工夫を凝らしております。
たなかやで過ごす、涼やかな夏のひととき

富山県黒部市・生地(いくじ)に湧く、生地温泉は、立山連峰からの伏流水に恵まれた、静かな港町にある温泉地です。新鮮な魚介と良質な温泉が揃う当館では、夏のひとときをゆっくりとお過ごしいただけます。
この夏限定でご提供する「鱧しゃぶ会席プラン」は、鱧をメインに据えた季節感あふれる会席コースです。鱧しゃぶはもちろん、前菜や酢の物、炊き合わせなどにも夏の味覚を取り入れており、五感で季節を感じていただけます。

都会の喧騒を離れ、海風と温泉に癒やされながら、職人技が光る鱧料理をご堪能ください。
鱧しゃぶ会席プランのご案内
- 期間:2025年6月中旬~8月下旬予定(準備中)
- 内容:鱧しゃぶを含む会席料理
- ご予約:公式ホームページ・各種予約サイト・お電話にて6月より受付
【ご夕食お品書き一例】
一.食前酒 季節のフルーツの自家製カクテル
一.八寸 富山の旬の食材の特製オードブル(9~10品目)
一.名物 生地の郷土料理
鰤出汁香る「越の浜汁」
一.造里 清水が育む富山湾の幸
旬の地魚盛り合わせ(5種)
一.焼物 カレイの姿焼き
一.酢物 富山の旬を愉しむ特製の一品
一.温物 鱧のしゃぶしゃぶ 特製梅ちり酢付き
一.留物 季節のこだわり炊き込み御飯
味噌汁 香物盛り
一.水物 自家製デザートと旬のフルーツ
※仕入れ状況により、提供期間や内容が変更となる場合がございます。
ご家族、ご友人とのご旅行や、日々のご褒美に——。 夏だからこそ味わえる、涼と技のひと皿を、ぜひ当館でお楽しみください。
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