【若女将日記】書道を習い始めました。

たなかや日記

皆様、いつも当館のブログをお読みいただき誠にありがとうございます。
最近は観光情報、食材の話、プランの紹介など、どこかインパーソナルな記事を多く更新しているので、とっっても久しぶりに日記も書いてみたいと思います。ドキドキ…

実は昨年の11月より、書道教室に通い始めました。
習おうと思ったきっかけは仕事にありまして…

まずは、玄関看板です。

60年書き続けている玄関看板

プライバシー保護の観点からか、最近では珍しくなった手書きの玄関看板。意外にも多くのお客様に喜んでいただき、記念に写真を撮っていかれる方も多くいらっしゃいます。
今は社長が毎日書いてくれているのですが、いつかはこの大切な役目を私も受け継ぎたい―そう思ったのが、ひとつ目の理由です。

二つ目は、旅の手帳です。
(御朱印帳の旅館&ホテルバージョンです。)

これが私共にとって大きな壁でして…。自信を持って筆を取れるスタッフが一人もいないのです。
お客様の思い出の記録が積み重なった続きの、真っ白なページに私たちが文字を綴る。
つまり、失敗は許されません。

旅の手帳!受け取ると緊張!
筆を握れば高鳴る鼓動!という感じです。(ラップ?)
(※もちろん、ご依頼を頂けるのはとても嬉しいです。お客様の旅の記念になるよう、心を込めて書かせていただきます。)

以上
「丁寧で整った手書きの字をお客様に提供する」ということが当館には必要不可欠であることから、書道教室への入門を決意しました。

師事している先生がこれまた、いつも前向きな影響をくださる方でして…。

初めて書道教室で練習したときのことです。
何枚か作品を書いて、先生から添削を頂きます。

忘れはしない、初めての習字教室でのレッスン

どんな厳しい指導が待ち受けているのだろうか…と震えて構えていましたが、
先生の指導はというと

「あ、ここはね、
スーッと書いてトン。
え?スーッと書いてトン?)

「それでここはね、
サーっと行ってシュッ。
(サーっと行ってシュッ?)

「ここは
サッ、サッ、トン。
(サッ、サッ、トン…?)

令和のモールス信号かと錯覚するほどのオノマトペの多用。

よく若旦那に色々な事を教えてもらう時、「もうちょっと言語化してよ。」とつい意見してしまうのですが、流石に先生にそんな事を言えるはずも無くその日のレッスンは終わりました。

帰宅してからすぐに習字道具を取り出し、呪文のように
「サーッ、トントン、サッ、シュッ!スーサッサ!シュッ!サッサ!と小声でつぶやきながら練習しました。
とうとう頭がおかしくなったんじゃないかと、女将からも社長からもこの日は心配されました。

サーッ、トントン、サッ、シュッ!スーサッサ!シュッ!サッサ!

イマイチ理解ができないまま翌週のレッスンへ。
先生にモールス信号が習得できないことを相談すると、次なるご指導が。

「書道は、
リズムと呼吸なんです。」

と一言、大ヒントを頂きました。

それから、練習する時はリズムと呼吸というワードを意識しつつ、サッ、シュッ、と心の中で唱えるようにしました。
するとだんだん、醜い字から少しずつですが進歩を感じるようになりました。

リズムと呼吸を意識し始めたら、少しずつ「シュッ!サッ!トン!」が理解できるように…

そして、書道を楽しんで続けられる理由が他にもあります。

ご指導のお陰で自分で成長を感じられるのはもちろん、先生は毎度のレッスンで

上手になりましたね!

「ここのはらい、良いですね!

と必ず何か良いポイントを見つけて褒めてくださいます。
大人になるとそんな風に褒められる機会が減るため、非常に嬉しいのです。

先生はできない時に「怒る・叱る」ということが無く、不足や課題がある時は原因と対策のアドバイスをくださいます。

できたら褒める、できない時は方法を示す――これは、教育の理想のモデルだなと感じました。
子育て然り、社内での教育も然り…。
先生のご指導には、書道技術の他にも大切な学びがたくさん詰まっています。

書道の練習の様子については、SNSでもなるべくアップするようにしています。

よく「なぜその熟語?」と聞かれますが先生のお手本通りに書いているので他意はありません。

なぜアップするかというと、玄関看板を美しく書けるようになるまでの過程を見守っていただきたいという想いはもちろん、
かの有名なあの格言にも影響を受けています。

人に見られているという意識は、行動を変える ―――誰かが言ってた気がします

調べたらホーソン効果というものらしいです。注目されていると意識することによって、その期待に応えようとしてパフォーマンスが向上する心理現象だそう。

書道は、静かに自分と向き合う時間です。
まだまだ未熟ですが、いつか旅館の看板や旅の手帳に、自信を持って筆を入れられるように。

今日もリズムと呼吸を整えながら、一画一画に心を込めて、練習を続けてまいります。

よろしければ、これからもそっと見守っていただけると嬉しいです。

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